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響和堂Blog 『 湧玉 wakutama 』

お伊勢参り… 秋の神楽祭

今日雅楽と呼ばれている音楽は、飛鳥・奈良時代から平安時代の初めにかけて
中国大陸や朝鮮半島などから日本に伝来した音楽と、日本で古来より行われた
音楽(神楽歌など)の総称です。
雅楽は、その伝来や舞の有無によって管絃・舞楽・催馬楽(さいばら)・朗詠
・国風歌舞(くにぶりのうたまい)などの別があります。
中国や朝鮮では王朝の交代などに伴って早くに途絶えましたが、日本に伝来した
雅楽は宮中の儀式や社寺の祭礼に用いられて、今日まで連綿として伝承されて
きました。

9月23日、伊勢神宮・内宮にて、秋の神楽祭。
まずは、舞楽を行うにあたって必ず初めに奏される曲「 振鉾(えんぶ)」。
左方と右方の舞人が鉾を振り、天地を鎮め安んじて、天下の太平を言祝ぐという
大変めでたい舞楽です。
鉾で天地を「 厭う(はらう)」ことから「 厭舞(えんぶ)」と称されたものが、
鉾をふるところから「 振鉾 」の字をあてるようになったと考えられ、転じて
舞台を祓い浄める舞楽と観念されて、必ず舞楽の初めに奏されることになった
そうです。
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美しい装束の柄には、見事な手刺繍が施されています。
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次の舞は、「 迦陵頻(かりょうびん)」。これまで何度となく写真や絵で観てい
て、是非実際の舞を観たいと思っていた演目です。
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極楽に住んでいる鳥、迦陵頻伽(かりょうびんが)が美しい声で鳴き、舞い遊ぶ
様をかたどった曲と伝えられています。
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「 貴徳(きとく) 」は、高い鼻に鋭い目、髭を蓄えた白い面が特徴的で、異民
族の王侯が勇壮に戦う様を模したものといわれています。
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そして最後に「 長慶子 」という、舞楽終了の際に退出を催す退出音声(まかで
おんじょう)として必ず奏されるしきたりとなっている楽曲が演奏され、神楽祭
は終了。

神苑に雅やかな音色が響き、色鮮やかな美しい装束に身を包んだ舞人が舞う様は
まさに神遊び。神様にお楽しみ戴くために千数百年以上も前から変わらず続けら
れている神事が残る、日本という国。

 「 なにごとの おはしますかは 知らねども
             かたじけなさに 涙こぼるる 」 西行法師

by Emi Nakamura
by kyowado | 2009-10-05 01:11 | 伊勢の道