2009年 10月 05日
お伊勢参り… 秋の神楽祭
中国大陸や朝鮮半島などから日本に伝来した音楽と、日本で古来より行われた
音楽(神楽歌など)の総称です。
雅楽は、その伝来や舞の有無によって管絃・舞楽・催馬楽(さいばら)・朗詠
・国風歌舞(くにぶりのうたまい)などの別があります。
中国や朝鮮では王朝の交代などに伴って早くに途絶えましたが、日本に伝来した
雅楽は宮中の儀式や社寺の祭礼に用いられて、今日まで連綿として伝承されて
きました。
9月23日、伊勢神宮・内宮にて、秋の神楽祭。
まずは、舞楽を行うにあたって必ず初めに奏される曲「 振鉾(えんぶ)」。
左方と右方の舞人が鉾を振り、天地を鎮め安んじて、天下の太平を言祝ぐという
大変めでたい舞楽です。
鉾で天地を「 厭う(はらう)」ことから「 厭舞(えんぶ)」と称されたものが、
鉾をふるところから「 振鉾 」の字をあてるようになったと考えられ、転じて
舞台を祓い浄める舞楽と観念されて、必ず舞楽の初めに奏されることになった
そうです。
美しい装束の柄には、見事な手刺繍が施されています。
次の舞は、「 迦陵頻(かりょうびん)」。これまで何度となく写真や絵で観てい
て、是非実際の舞を観たいと思っていた演目です。
極楽に住んでいる鳥、迦陵頻伽(かりょうびんが)が美しい声で鳴き、舞い遊ぶ
様をかたどった曲と伝えられています。
「 貴徳(きとく) 」は、高い鼻に鋭い目、髭を蓄えた白い面が特徴的で、異民
族の王侯が勇壮に戦う様を模したものといわれています。
そして最後に「 長慶子 」という、舞楽終了の際に退出を催す退出音声(まかで
おんじょう)として必ず奏されるしきたりとなっている楽曲が演奏され、神楽祭
は終了。
神苑に雅やかな音色が響き、色鮮やかな美しい装束に身を包んだ舞人が舞う様は
まさに神遊び。神様にお楽しみ戴くために千数百年以上も前から変わらず続けら
れている神事が残る、日本という国。
「 なにごとの おはしますかは 知らねども
かたじけなさに 涙こぼるる 」 西行法師
by Emi Nakamura