2010年 05月 23日
藤城清治さん 影絵の世界
すこし前に、徹子の部屋に藤城清治さんがご出演されていました。
藤城さんは日本を代表する影絵作家です。
1924年東京生まれ、今年86歳になられました。
光と影が織りなす抒情あふれる世界、そして人物や動物の大きな黒目が印象的です。
テレビ、雑誌などメディアを通して、誰もが日常的にその作品・画風を目にされたこと
があるのではないでしょうか。
今年の誕生日4月17日に、一冊の影絵本を出版されました。
アンデルセン原作の「ぶどう酒びんの不思議な旅」は、アンデルセン童話の中でも
いちばんお好きな作品なのだそうです。
この本は戦後まもない1950年、藤城さん26歳の時、出版された初めての作品。
暮しの手帖社から刊行された本はモノクロ印刷でした。
これでは十分に表現できなかった幻想世界を、カラー作品で!というご自身の原点への
挑戦なのだそうです。
徹子の部屋では制作工程も紹介され、剃刀の刃を使って物語の場面がつぎつぎに
切りだされていきます。瓶が生まれてから長い長い旅の果てに、粉々に割れる…
その場面を描写するために、実際に瓶を割って欠片ひとつひとつの形、光をじっくり
と観察をされていました。
60年間の経験、想い、さまざまなものが込められている、丁寧に丁寧につくられた
作品なのだと思います。今でも切っている時間がいちばん楽しいですよ、とニコニコ
穏かに話される藤城さんはとてもチャーミングな方でした。
絵本のあとがきより
「ぼくの原点はアンデルセン童話だ。人間だけでなく、すべての動物や植物、椅子や机や
びんにも、愛と命をふきこんで人生を描き出すからだ。・・・・・・・・
この光と影の絵本を通じて、人生の美しさや喜びを感じとっていただければ、こんな
うれしいことはない。」
全国で影絵展覧会が開催されます。
現在は高知県立美術館で開催中、その後、金沢、鹿児島、福井を巡回し、東京では
8月中旬頃、銀座教文館でも影絵原画展 開催予定だそうです。
☆藤城清治さんのHP