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響和堂Blog 『 湧玉 wakutama 』

Shasta-3:パンサーメドウズ

マウントシャスタシティから、エベリットメモリアルハイウェイを通って、
シャスタ山の中腹、標高約2,000mに位置する“Panther Meadows(パンサー
メドウズ)”へ向かう。
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冬から春にかけては雪で閉ざされるため、車でアクセス可能な時期は、6月
下旬から11月上旬にかけて。毎年、山開きの時には、ネイティブアメリカン
の代表が集まって儀式が執り行われるという。シャスタの最も神聖な場所と
されている所だ。
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17世紀に実在した「ヨーロッパの驚異の人」と呼ばれるサン・ジェルマン
伯爵。100年もの間、老いることない姿で様々な場所に現れ、あらゆる言語
を話し、思念で旅をし、貧者に施し、平和のために活動したというセント・
ジャーメインの伝説は今も語り継がれ、時折シャスタ山に現れると言われて
いる。
1930年、一人の男性がこの場所に行き着いた時に、“黒豹”と共に現れた
セント・ジャーメインから啓示を受け、その愛と平和のメッセージを広く
伝えることになったということから、この地は“パンサーメドウズ”と呼ば
れるようになった。
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パンサーメドウズへ続くトレイル(遊歩道)。自然保護のため、このトレイル
を踏み外さないように登っていく。
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夏には草花が咲き乱れ、箱庭のような美しい景観だそうだ。既に花は無く、
草も枯れていたが、紅葉した秋の風情も趣あるものだった。何より、地から
湧いてくるエネルギーの高さ、心地よさ…。一歩進む毎に清々しい息吹に
包まれる。
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生命力に溢れる樹木。
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どこからか聞こえていた水のせせらぎ。
その小川だ。
マクラウドリバーの源泉であり、とても神聖なもの。大きなペットボトルを
抱えて、水を汲みに来る人の姿もあった。私も用意してきたボトルで水を
汲み、喉を潤す。
冷たい。 あぁ、なんて美味しいのだろう。
身体中の細胞が潤い、瑞々しく生まれ変わるようだ。
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そして、ここが“ End of Trail ”。石垣で囲われた泉に、今は水はなく
立ち入り禁止となっているが、この場所にいるだけで心が潤い、喜びに
包まれるのを感じる。
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しばし、遠景を望む。
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そして、瞑想する。
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そこに、楽しげな話し声と共に、5人の家族がやってきた。
幼い男の子と女の子、その若い両親、そして“Grandma”と呼ばれる女性。
おばあちゃんと言っても、まだ50代前半位で、小さな花の髪飾りを付け、
スリムで軽やかな身のこなしがとても若々しい。
何故か私はその女性から目を離すことができず、彼女の表情、仕草に釘付け
になってしまった。どこをどうみても、地元に住んでいる普通の家族である。
この薄い紫色の地味なトレーナーを着た一見普通のおばさんを、私はとてつ
もなく美しい!と思った。そして、彼女がこの泉の前に立った時、この地
のエネルギーと同化して喜びにふるえた一瞬を、私は見逃さなかった。

彼女が孫達を抱き寄せると、娘さんがカメラを向ける。
「ほら、もっと笑って。そう!なんて可愛いんでしょう。天使みたいよ。」
ママに言われて、子ども達は満面の笑みでポーズをとる。
彼女は孫達の頭上で両手をひらひらと舞わせながら、「空から、光が降って
くるわ。なんて素敵な気分…」と言う。彼女の指先から、本当にキラキラが
こぼれ落ちて、辺りに美しい光のベールができるのだ。
そして、歌い出す。子守唄のような静かな優しいメロディ。その歌声の
なんと美しいこと!もしかして、歌手なのでは?と思うほどの素晴らしい
歌唱…。
20分くらいだろうか。写真を撮ったりお喋りしたり、ひとしきり楽しんで
この家族が帰ろうとした時、私は彼女に駆け寄った。
そして、思わず言った。「 You are so beautiful !!! 」

「私は、英語が上手く話せないのでちゃんと伝えられないのだけど、でも、
 あなたのことをとっても美しいと思ったので、それをどうしても言いたかっ
 たの! あなたは光り輝いていて、本当に美しいわ!」
彼女は驚いて、そして、ゆっくりと深呼吸して私を見つめた。
「ありがとう。 嬉しいわ。 あなたもとても綺麗よ。 どこから来たの?」
「日本です。」
「そう。 一人で? よく来たわね。 あなたに会えてとても嬉しいわ。
 ね、私の瞳の中を見て。」
彼女はそう言って、自分の瞳の中を指さした。
「ほら、見て。あなたが見えるでしょ? 私の瞳の中にあなたがいるのがわかる?
 そう、私の中に、あなたがいるの。 あなたと私はひとつなの。 
 そして、あなたの瞳の中にも私がいるわ。 私があなたで、あなたが私。」
彼女の黄緑がかった茶色の大きな瞳の中に、私がいる。

私は、溢れる涙を止めることができなかった。
30分前まで存在すら知らなかった人と、「ひとつである」という喜びを
瞬時に共有する奇跡。
「ありがとう。ありがとう。ありがとう。」それしか言葉にならない…。
「ハグしてもいい? あなたに神のご加護がありますように。 いつも心に
 愛と平和がありますように。 あなたの人生がいつも光り輝いていますよう
 に。」
「ありがとう。本当にありがとう…。」
「出会えてよかった。 あなたを愛しているわ。」

少し離れたところで、「 Grandma!」と子供が呼ぶ声がする。
「それじゃ、元気でね。よい旅を…!」
「さようなら、ありがとう!」
何度も手を振って、私達は別れた。
彼女の瞳に映った自分の姿を、私は決して忘れないだろう。
そして、これから私が出会う全ての人の瞳の中にいる、自分の姿を見たいと
思った。「ひとつであること」を確認し合えたら、素敵だと思った。
「ひとつになること」は難しいことじゃない。
ちゃんと向かい合って、しっかり相手を見つめると、相手の瞳(心)に入って
いける。ちゃんと瞳(心)を開いていれば、相手が入ってこられる。
そして、ひとつになる。

シャスタのパワースポットを巡る初日に、早速体験したシャスタ・マジック。
彼女は女神そのものだった。
いや、私のセント・ジャーメインだ。 
感動を胸に、トレイルを戻って駐車場に向かう。入口手前にある“守り神”
とされている木に御礼を言わなければと、目をやる。
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思わずシャッターを切った時には、望遠でもよく見えなかったのだが…
拡大してみると、そこには、瞑想する男女の姿があった。

美しい。

二人はひとつ。
そう、シャスタとシャスティーナだ。
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by kyowado | 2008-10-28 02:33 | シャスタ旅行記