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響和堂Blog 『 湧玉 wakutama 』

ウィーン国立歌劇場2008年日本公演

4年ぶりのウィーン国立歌劇場来日公演。
リッカルド・ムーティが振る。 エディタ・グルベローヴァが歌う。
行かないわけにはいかない…。
今年の3月の先行予約、高額チケットにため息をつきながら購入したオペラが、
ついにやって来た。

リッカルド・ムーティに初めて会ったのは、5年前のミラノ・スカラ座来日の
時だったろうか。イタリアンレストランで、彼の食べ残したフルーツタルトを
頬張って、夢見心地だった私…。
いえいえ、友達でも、ましてや東京の恋人でもない。(アタリマエだろ。)

私の友人のS氏は、国際的に有名な指揮者やオペラ歌手をはじめ、著名人が
来日の際に訪れるイタリアンレストランのシェフである。かのズービン・メー
タも「Sがいなければ、日本で演奏しないよ」というほどの贔屓で、連日ご夫人
を伴って食事し、打ち上げパーティもそのレストランで行なわれたほどである。
「 今夜、演奏が終わった後に、ムーティが食事しに来るけど、来る?その代わ
 り、下手なイタリア語で歌い出すんじゃないぞ…」とシェフに釘をさされる。
もちろん駆けつけ、そこで、ムーティ様にお会いしたのだ。
それほど大きくない方だけれど、うーん、さすが、オーラが違う!帰り際に目
が合って「スカラ座で待ってるよ…」と言われたような気がした私は、すっか
りデビュー前のソプラノ歌手の気分。(言ってないって!)
特製のフルーツタルトがホールで供され、一切れしか取り分けられていなかっ 
たので、すかさず「このケーキ、食べたぁ〜い♪」とおねだり。
こうして、「ムーティの食べ残しのケーキを食べた女」という、ファンには
垂涎ものの体験ができたというわけだ。(だからどうした。)

そのムーティが今回振るのは、モーツァルト「コシ・ファン・トゥッテ」。
上野・東京文化会館、10月27日(月)18:30開演。 
会場でプログラムを買い、座席でゆっくり読もうとルンルン気分でいたところ、
今まで手に持っていたはずのチケットがないことに気がついた。座席番号は
メモしてないし…。プログラムやCD売場の床を見渡しても、どこにもない…。
急いで受付に駆けより「イープラスで購入したナカムラエミですが、チケット
を落としたので座席番号を調べてもらえませんか?」とお願いする。幸い開演
20分前と、少し時間があったので、すぐにイープラスに電話連絡してもらい、
座席番号確認の電話が折り返しかかってきた。手書きのチケットを発行して
もらい、無事、着席。
あぁ、よかったぁ…。すっごい汗かいたぁ…。
オペラ貧乏覚悟で買った¥65,000の座席。座れなかったらあまりにも悲惨だ。
こんなアクシデントもあって、さぁ、ムーティのモーツァルト!

なんと流麗で美しい音だろう。
「コシ・ファン・トゥッテ」は、二重唱・三重唱・五重唱・六重唱と重なり
合う声と声、音と音のハーモニーを堪能するオペラである。この上ない美しさ
で迫ってくる音の波に、ムーティ自身がモーツァルトのオペラの中で最も愛す
る作品と語っているのがよくわかる。
ロベルト・デ・シモーネのオーソドックスな演出は、読み替えを全く行わずに
美しい舞台で登場人物をくっきりと浮かび上がらせる、ムーティの美学にピッ
タリと合ったものだった。
ソプラノのバルバラ・フリットリ他、ソリスト達も重唱の美しさを徹底して演
じ、全てが調和した素晴らしい舞台に魅了された。

さて、奇跡の“プリマドンナ・アッソルータ(最高位のプリマドンナ)”と
言われるソプラノ歌手、エディタ・グルベローヴァ。
高音の威力と卓越したテクニックをもつ“コロラトゥーラの女王”の舞台は、
11月8日(土)15:00開演、千秋楽の「ロベルト・デヴェリュー」だ。
このドニゼッティのオペラは、演奏会形式で行われた。
前回ベッリーニの「ノルマ」で来日した時も演奏会形式で、“またか…”と
ちょっと残念な気もした。日本人をなめているわけではないだろうが…。
それでも「ノルマ」ではヴェッセリーナ・カサロヴァとの掛け合いが素晴らし
かったし、今回もこの難役、イングランド女王・エリザベッタを卓越した歌唱
で聴かせてくれるに違いない。
そう、やはり、女王は女王だった。
なんて美しい声、なんて正確な音なのだろう。すごすぎ…。

終演後、会場近くの駐車場を歩きながら、前日の深酒が残っていたのか、女王
の歌に酔いしれてか、下り坂でふらついて、転んでしまった。手をついたもの
の下り坂で勢い止まらず、顔まで擦りむく。右の眉の上を裂傷し、たらりと
出血したので、すぐに病院へ。幸い深い傷ではなかったが、顔に傷なんて、
なんとも情けない…。

そんなこんなで、チケット無くすは、道で転ぶはの、ちっとも優雅じゃない
私のオペラ観劇の巻。しかし、世界に名だたる演奏家の素晴らしい舞台に、
心から楽しんだ。ブラヴォー!
オペラは、確かに敷居が高いかもしれない。有名な歌劇場の来日公演となる
と数百名のスタッフに豪華な舞台装置で製作費もかさみ、結果高額チケット
になる。が、作品自体は、今も昔も変わらない人間模様を描き出し、わかり
やすいストーリーのものがほとんどだ。字幕スーパーもあるし、事前に少し
予習しておけば、充分に楽しめるはず。DVD等もたくさん出ているし、もっと
気軽にとらえて欲しいものだ。

おっと、2010年、ネトレプコの「マノン」に、ゲオルギューの「椿姫」の
チラシ。…見なかったことにしよう。
by kyowado | 2008-11-18 02:01 | いろいろ…観る