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響和堂Blog 『 湧玉 wakutama 』

愛の旋律

「  人生の喜びのうちで、愛のみが音楽に勝る、
        しかし愛もまた旋律である…   」 A.S.プーシキン  

日本フィルハーモニー交響楽団の首席指揮者に、アレクサンドル・ラザレフ氏
が就任した。そして、プロコフィエフの交響曲全7曲をこれから3年かけて
演奏・録音することが決定している。
その披露公演が、先週1月16日のサントリーホール定期演奏会にて行われた。

曲目は、
プロコフィエフ:交響曲第1番 ニ長調「古典」
モーツァルト:協奏交響曲 変ホ長調
プロコフィエフ:交響曲第7番 嬰ハ短調「青春」
プロコフィエフ26歳の最初の交響曲と62歳の最後の交響曲、そして、間に
演奏されたモーツァルトは、ソリストにヴァイオリン:漆原朝子、ヴィオラ:
今井信子を迎える。

実に聴き応えのある、素晴らしい演奏だった。
ラザレフ氏の大きな指揮は、指先から愛がほとばしり、その強い求心力に、
オケの集中力が高まる。指揮者の愛に応えなければという演奏家たちの心が
見えてくるような心地よさ。

終演後、オケのメンバーの懇意にしている方達と一緒に食事に行った。
そして、ラザレフ氏の話を聞いた。
年明け早々に合宿のようなリハーサルが続き、通常なら1度通して演奏する
ところが、ラザレフ氏は第1楽章だけで、1時間半もかける。
時間厳守でスタートし、休憩時間中も指揮台から離れずに、何時間もずっと
立ったまま音楽に向き合う。そして、リハの終了予定時間ぎりぎりまで、
厳しいトレーニングが続く。しかも一切無駄がなく、必要な点だけを確実に
着々と詰めていく、とても練られたリハーサルである。それが決して機械的
なものではなく、緊張感に満ちた練習を経るなかで、明らかにオーケストラの
音がよい方向に変わっていくのをはっきりと感じ取ることができるのだ。
音楽と対峙する真剣そのもののマエストロと、本番を終えて開放されると
大変な酒豪として浴びるようにお酒を飲む、人間味溢れる魅力…本当に素晴
らしい指揮者だよ、と語ってくれた。
心から音楽を愛し、その “ 本当の姿を実際の音に ” しようとこれほど純粋
なマエストロは稀有な存在だ、と。
日フィルが大きく変わる幸せな予感が、こちらまで伝わってくる。
素敵だ。

アレクサンドル・ラザレフ氏は、1945年モスクワ生まれ。サンクトペテル
ブルグとモスクワの両音楽院に学び、71年に全ソ連指揮者コンクール、72年
のカラヤン国際指揮者コンクールで優勝。73年にモスクワのボリショイ劇場
の指揮者となり、87年から95年まで芸術監督、首席指揮者を務めた。英国の
BBC交響楽団首席客演指揮者、ロイヤル・スコティッシュ管弦楽団首席指揮
者を歴任。2008年9月に日本フィルハーモニー交響楽団首席指揮者に就任。

披露公演のプログラムに、ラザレフ氏がこのようなメッセージをよせていた。

「  “ 愛の旋律 ” は、それを求める全ての人を結びつけます。
   求めれば誰でも聞き取ることができるものなのです。
   音楽への愛は、天才達の傑作が満ち溢れる
   コンサートホールへと私たちを誘います。
   演奏家にとって大きな喜びは、聴き手をこうした感情で照らし、
   魅了し、感動に満たされた多くの心がひとつになっているのを感じる   
   ことです。
   日フィルと私は、この幸せをみなさまと分かち合いたいと思っており
   ます。どうぞ、人生の喜びを感じに、私たちのコンサートへお出掛け
   ください。    」

あぁ、これからがとっても楽しみだ。

by Emi Nakamura
 
by kyowado | 2009-01-19 23:00 | いろいろ…観る