2009年 06月 24日
Live 「 塩高和之 “ 美話十面十色 ” 」
“ 十人の五弦琵琶演奏家による、伝統の枠を超えた革新的琵琶語りの世界 ”。
この企画のプロデューサーは、歌手・小椋佳さんのご子息・神田宏司さん
である。
神田さんは広尾に「 神田琵琶工房 」 を構え、ご自身で琵琶の製作から
琵琶文化の再興に向けた普及活動まで、積極的にすすめていらっしゃる。
「 この度の “ 美話 ” の演奏会は、初めて琵琶の演奏を聴かれる方にも、
琵琶をよくご存知の方にも楽しんでいただけるような会にしたいと
企画・構成致しました。
琵琶という楽器は、一般に一人で演奏するものですが、今回は2〜3人
の奏者の掛け合い、全員参加による歌唱舞台、また現代語による創作
琵琶歌など、様々な新しい試みに挑戦しています。
この演奏会が、今までの “ 伝統的な難しい琵琶 ” から “ 親しみ易い、
感じる琵琶 ” として、多くの方に興味を持っていただくきっかけに
なれば幸いです。 」 プログラムにはこう書かれていた。
素晴らしい。
ステージのナビゲータは、小椋佳さんである。
あの柔らかいお声で、わかりやすく楽曲の説明が語られる。ご自身も琵琶を
少々たしなまれる(日本琵琶楽協会顧問でいらっしゃる)とあって、
「 なにしろ練習嫌いなので、人前ではお聴かせできないと思っていますけれ
ども、舞台に立つと、どうもやりたくなってしまう。師匠には内緒で、こっそり、
弾かせていただきます。」 と披露された。
島崎藤村の詩をもとに、美しい琵琶奏者・坂田美子さんと共作された
「 罪なれば 」である。坂田さんの声と、小椋さんの声とが、出会い、融け合い
新しい琵琶歌を楽しませてくれた。さすがだ。
この坂田美子さんの琵琶、そして歌は本当に素敵だ。凜とした佇まい、品格は
日本の女性琵琶奏者として間違いなくトップである。
そして、今回出演した10人の琵琶演奏家の中には、もちろん、9月公演に出演
していただく塩高和之さんもいらっしゃる。
あえて、言わせていただこう。
塩高さん、そして坂田さんの存在は群を抜いていて、このお二人がいなかったら
今回の素晴らしいプロジェクトの面白さは半減、いやそれ以下だっただろう。
企画内容、進行は素晴らしいが、演奏者のレベルの差が如実に表れすぎていて
少し残念な気もした。
しかしながら、琵琶界の現状が見え隠れしつつも、これだけ秀逸なプロデュー
サーがいらっしゃるというのは光明ではないか。
この週に行ったライブは、4本。
思い入れや企画内容だけでは決してライブは成功しないが、それでも制作側の
よりよいものを創ろうとする信念は、ステージのレベルを引き上げる。
それが空回りしないように、演奏者、スタッフ全員の心に響かせることができる
ように、私もプロデューサーとしてのセンスを磨いていきたいと、強く思った。
by Emi Nakamura
by kyowado
| 2009-06-24 13:00
| Live