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響和堂Blog 『 湧玉 wakutama 』

おばあちゃんの琵琶

浩子です。
琵琶の音をちゃんと聴いたのは、響和堂のスタッフを始めてからです。
塩高和之さんのコンサートで、幻想的な音色と澄んだ声の織りなす世界観
に驚き、魅せられました。

すこし前のことですが、都内の伯母の家に遊びに行った時の話です。
私の父の姉さんで、小さい頃から大好きな伯母です。
いとこ達もそれぞれ家族をもち、今は伯母と伯父のふたり暮らし。

おばあちゃん(伯父のお母さん)は、山口でずっと一人暮らしをしていたの
ですが、10年くらい前に東京に来て、4年前に亡くなるまで同居をしていました。
その日、おばあちゃんの琵琶を初めて見せてもらいました。
喜寿のお祝いにと、伯父といとこがプレゼントした筑前琵琶を。
その琵琶を購入するために、伯母はいろいろなところに問い合わせをして、
取り扱う店を探したそうです。 新品は初めからあまり良い音がでない、と
いうことで、よい品物の中古品に手を入れたものをすすめられたのだとか。

おばあちゃんは、お父さんの仕事の関係で、娘時代まで朝鮮半島に住んで
いたそうで、その頃は暮らしもよく、琵琶、三味線といろいろな手習いをして
いました。 日本に引き上げてからも、三味線は続けていたけれど、 琵琶は
手放し…、なのでこの贈り物を たいそう喜んだと。
東京で同居をするようになってからは、毎週のように自由が丘のお教室に通い、
おばあちゃんが習っている間 伯母は傍で編み物をして聴いていたそう。
帰っておばあちゃんが練習をしていると、 「あら?お母さん、今のところちょっと
違ったみたいだけど?」 耳のいい伯母が突っ込むと 「そ~だったかえ?」と
とぼけるそうで、その光景がなんとも のどかに浮かんで 笑ってしまいます。

東京に来る前、その町の小さな公民館の集まりで、演奏をしたことがあったそうです。
演奏しながら、高くてよく通る よいお声で歌ったそうです。
あんな小さな田舎町であっても、おばあちゃんにとっては さぞ誉れであっただろうなあ…
と、伯父が話してくれました。
音を出してごらん。  うながされて、ばちを弦に当ててみると、深い倍音が響きました。
お、なかなかいい音を鳴らすじゃない? 伯父がひやかしました。

琵琶には、娘時代のきっとよい思い出がつまっていたんだなあ。
年を経てまた琵琶を弾き、そうさせてくれた家族の気持ちが、どんなに嬉しかっただろう。
93で亡くなるすこし前まで弾いていたそうです。
おばあちゃんと会っていろんな話を聞かせてもらえばよかったな…と思いました。
街のあちこちで、三味線や琵琶の音が聞こえた時代の話を。
by kyowado | 2009-08-19 19:19 | あれこれ…想う