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響和堂Blog 『 湧玉 wakutama 』

にんじん

にんじんが嫌いでした。
小さい頃から。

残さず食べなければいけない給食の時には、鼻をつまんで、息をとめて、
噛んだときにぷわんと上がってくるにんじんの匂いがしないように、
いそいで噛み砕き飲み込んで、他のものを流し入れ、あのにんじん臭い
のを阻止していたのです。

大人になってからは、人に料理を出すときに彩りでにんじんを加えますが、
自分では食べません。
そう、大人になってから、母もにんじんが嫌いだったということを知り
ました。自分が嫌いだからといって、三人の娘達に好き嫌いをさせないよう、
一度だってにんじんが嫌いだということを口にしたことはありませんでした。
あとあと、牛乳や卵があまり得意でないことや、うどんやパスタなどの麺類
もそれほど好まないということを知りました。
ママってすごい…。

私は、他には何ひとつ好き嫌いはありません。何でも食べるし、普通の人が
食べたことのないような食材も平気でチャレンジできます。
でも、にんじんは嫌いでした。
もうひとつ挙げるとすると市販のトマトジュースです。
子どもの頃に飲んだトマトジュースというと、完熟トマトに氷とレモン汁と
砂糖を加えてジューサーにかけるフレッシュジュースがトマトジュースだと
思っていたので、市販のトマトジュースなど臭くて飲めませんでした。
なんでも手作りの素敵な家庭料理だったというわけではありません。
父が事業に失敗して、ひどく貧乏だったので、不憫に思った母方の祖父が、
時々、熟れすぎて安くなったトマトをたくさん持ってきてそっと置いていって
くれていたのをジュースにしていたのだそうです。
今思えば贅沢なジュースですが、私はそのトマトジュースが大好きでした。

それが、
今年に入ってからかなぁ? 
できるだけ野菜中心の食生活を心掛けよう!と強く思ったからなのでしょうか、
にんじんの匂いが嫌いでなくなったのです。おまけに吐き気がするほど嫌い
だった市販のトマトジュースも(銘柄によりますが)飲めるように…
あれ?
歳をとって味覚が鈍感になったのか?
いや、いろんな匂いや味はまだ敏感にかぎ分けられるぞ。
でも、試しににんじんをボリボリ食べてみても、全然ダイジョウブ。
もちろん、にんじんの味や香りが昔のにんじんとは随分変わってきたとは
よく言われることだけれども、それでも、今までお隣さんのお皿に差し上げて
いたにんじんを、どんな調理法でも残さず口にいれてみたら、全然イヤじゃない。

知らず知らずのうちに、ちゃんと大人になって、嫌いだと思っていたものが
平気になり、許せないと思っていたものが何でもなくなる。
思い込みの好き嫌いじゃなくて、ちゃんと感じ取らなきゃいけないものがあると、
ようやく本当にわかってきたのかな。

嫌いなものがどんどんなくなるって、嬉しい。

by Emi Nakamura
by kyowado | 2009-09-01 22:22 | あれこれ…想う