2009年 10月 14日
上関原子力発電所建設計画について
中学・高校時代は広島県との県境にある、山口県瀬戸内海側の街、岩国に住んでいま
した。
恥ずかしながら、この度友人からのメールで、瀬戸内海の上関(かみのせき)に原発
建設計画があると初めて聞きました。
上関原子力発電所は、中国電力が、瀬戸内海に面する山口県熊毛郡上関町大字長島に
建設計画中の原子力発電所です。長島西端の田ノ浦の山林を切り開いて14万平方メー
トルの海面を埋め立て、改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)2基の建設が計画されている
そうです。稼働後に発電される電力は、50万ボルト送電線で同県周南市まで引かれ、
既存の高圧線を経て主に広島・関西方面に供給されるものと見られています。
海を隔てた対岸に位置する祝島(上関町)の島民九割以上が建設に反対していること
をはじめ、周辺海域に小型クジラのスナメリや絶滅危惧種の海鳥カンムリウミスズメ
など複数の貴重な生物が生息することや、付近に活断層が存在する可能性があること
などから、計画が浮上してから着工許可を国に上程するまで複数回の延期を繰り返し
ているそうです。
それが最近になって、住民との話合いがなされないまま、急に工事が再開したとの
こと。
推進派は、過疎が進む現状を鑑みて、原子力発電所立地により交付される電源三法
交付金や固定資産税等により安定的な収入を得ると共に、関係者の定住により人口の
減少に一定の歯止めがかかり産業が活性化されることを期待しているとされています。
電力の供給に問題があっての建設推進ではなく、町政運営や商工会の利益重視でこと
が運んでいるということ。生活環境に与える悪影響が甚大であるという反対の声を
無視して進められているという現状。これはどういうことなのでしょう?
署名については、10月15日期限となっていますが、私のように何も知らなかった
方も多いと思われますので、長文ではありますが、転載させていただきます。
********************
近隣に住む子育て中の母親たちが中心となって、下記のような内容で、10月20日、
中国電力に申し入れに行くことになりました。
つきましては、申し入れ書に対する賛同連名を募集したいと思います。
賛同してくださる方は、10月15日までに、
世話人(吉岡)sumire-yucca@mx51.tiki.ne.jp まで、ご住所とお名前をメール
してくださいますよう、お願いいたします。
また前回は、思いがけず300人近い、多くの方の賛同をいただき、心より感謝して
おります。
(以下、申し入れ書)
中国電力株式会社御中
上関原発計画についての申し入れ
2009年10月20日
未来につながる生命にとって大切な環境を守っていきたいと思う市民です。わたしたち
の子供たちだけでなく、 未来の子供たちが安心して遊び、暮らせる環境があること、
それこそがわたしたちの一番の願いです。
わたしたちは、子供のころから電気のある暮らしを享受してきた世代ですが、現在は
環境のことを真剣に考えていかなければいけない現実に直面しています。
子供や孫など先の世代のことを考えると、電力や自然環境のことも、人任せにせず、
自分のこととして考えていかなければならないと思うようになりました。
貴社による原発計画は、27年前から祝島や近隣住民などの反対により、予定が進ま
ず、このままできないものと安心していました。ところが、去年になって 急に計画が
進められ、また、貴社による埋め立て工事に関わる住民との対立に、不安や不信感が
高まり、心を痛めています。反対派の住民や、希少動植物を含めた予定地の環境の中
で生命を育む存在は、会社にとって邪魔な存在というような姿勢、わたしたちの暮ら
しや環境を誠実に考えていないかのようにみえる態度に、わたしたちは悲しい思いを
しています。
わたしたちは、下記のことを不安や疑問、希望として思っています。
(原子力発電所についての上関町以外の近隣住民の意向)
現在、上関町のみが原子力発電所の是非について、問われていますが、原発の影響は、
広範囲に及びます。
稼働中、排気筒と排水口から出る放射能や薬物は微量であると言われるかもしれませ
んが、原発近くの海域で魚などの大量死や、奇形が見られるという話はよく聞きます。
また、原子力発電は、原子炉で作られた熱の2/3も海に捨てられるそうですが、たと
え発電時にCO2を出さないとしても、地球温暖化を助長するのには変 わりがないと
思われます。
さらに、各地の原子力発電所は、度々、トラブルが見つかり、その度に放射能が漏れ
だしていることもしばしばです。また、今後起こりうる地震の規模は予測がつきません。
わたしたちの毎日の食卓には、農作物や海産物・畜産物などの食材を使った食べ物が
並びます。地産地消を唱えられている今、地元の食材を使うことが多いのです。それ
なのに、原子力発電所が近隣にできることになれば、放射能で汚染された可能性のあ
る食材を食べ続け、内部被ばくする可能性があるという不安を、常に抱えることにな
ります。いくら、事業者である貴社から人体や環境への影響はない、杞憂であると言
われても、何の保証もありませんし、放射能は蓄積され続けるものであり、不安が
払しょくされることはありません。
予定地は豊かな自然に恵まれた、活断層のある地盤の弱い入江であり、原発のこと、
現地のことを知れば知るほど、この計画は、わたしたちにとって、利益より環境や
人体・農業・漁業・観光・経済などに与えるダメージの方が大きいものと思われて
きます。
(子供や妊婦の健康被害:小児ガンや小児白血病について)
原発周辺の子供は、ガンや白血病にかかりやすいとききます。
ドイツ政府の行なった研究により、原発の立地周辺で5歳以下の子どもが白血病に
かかるリスクは、原発と居住地の距離が近いほど増加することを、はじめて科学的に
立証したものとなったそうです。
また、アメリカの研究機関の発表では、原子炉閉鎖で乳児死亡率が 最大で54・1%も
激減したそうです。 そして、万が一、事故が起こった場合、放射線の被害をもっとも
敏感に受けるのは、幼い子供や妊婦であり、原発のある地域では、事故時に被ばくし
た子供が甲状腺がんになるのを防ぐため、事故直後に服用するヨウ素剤という薬が
配備されるそうです。(しかし、そのことは上関原発予定地の近隣に住む住民の間で
も、あまり知られていません。)
わたしたちはそんなリスクを、原発が稼働する50年間、子供たちに背負わせたく
ありません。
わたしたちが子供のために望む環境は、原発のない、そのままの自然です。
(自然エネルギーへの転換)
今では、様々な自然エネルギーの技術が存在します。貴社は、日本は資源がないと
宣伝しておられますが、自然エネルギーに恵まれているのではないでしょうか。
太陽光・風力・水力・地熱など、様々な自然エネルギーを利用した発電方法があり、
その土地の持つ特色にあった、なおかつ、その土地の環境を極力壊さない発電を
わたしたちは望んでいます。
例えば周りを海に囲まれたデンマークでは、洋上風力が盛んです。豊富な川の水が
あるブータンでは、ダム型でない小型水力発電により、電力不足に悩むインドへ
売電するほどだそうです。地震が多く自然に恵まれた日本には、原発でない、日本
に適した他の発電方法が求められていると思われます。
(今回のブイの設置について)
貴社は10月7日午前7時に、別の港に用意しておいたブイを2基、予定地沖に
設置し、海の埋め立て工事に着手したと発表しておられます。中電上関原子力発電
所準備事務所は「作業を安全かつ確実に進めるため、今回の手法を取った」と説明
されています。
その行動や説明からは、住民の意思より作業優先の考えがはっきりと示されていて、
住民の理解を求めている姿勢であるとはとてもいえません。今回の一件 は、正当性
を疑われても仕方のない行為だと各社の報道を見て思いました。
話し合いの場がもたれないままの、突然の計画的な作業の仕方に、わたしたちは貴社
がなぜそんなことを決行されたのが、まだ信じられない思いで衝撃を受けています。
わたしたちはこれ以上、この上関原発問題で心を傷つけられる人が増え、貴社と住民
との間に対立の溝が深ま立の溝が深まることを望みません。禍根が残らぬよう、一日
も早い、話し合いの場をお願いします。
以上
以下に、要望と質問事項をまとめました。
・田名埠頭での夜間の作業は、一刻も早く中止し、せめて本来、周知されていた日の出
から日の入りに変更してください。
・2008年10月に県知事より出された「上関原子力発電所計画への適切な対応に
ついて(要請)」という文書に「事業者においては、特に原子力発電所の 安全性、
信頼性の確保ということを大前提に、上関原電計画について、地元はもとより、県民
の理解を得るための努力をつくすこと。」という文言があります。もっと、住民の理
解を得るために努力が必要なのではないでしょうか?
・理解を求める上で、今後、貴社と祝島などの人たちが話し合う場が必要になると思
われますが、具体的にどういう形で実現されるおつもりでしょうか?
・どうか、会社の利益だけでなく、人としての道義も大切にしてください。
・わたしたちはこれ以上、対立が続くのを望んでいません。どうか、人道的な対話を
お願いします。
・山口県民、また近隣の県の住民の思い、考えも尊重されるべきではないでしょうか?
・原発の危険性についても近隣の住民への説明をお願いします。わたしたちは、一方的
に原発を美化しない、公正な宣伝・広告も求めています。
・もし貴社がおっしゃるように原発が安全なのであれば、なぜ電力を多く使う都会に
作らないのですか?
・原発が安全であり、人体や環境などへの影響が軽微であるということが本当であれば、
なぜ、125億5千万円という多額の漁業補償契約が必要だったのですか?
・排気筒は150mもの高さがあるそうですが、なぜ、そんな高さが必要なのでしょうか?
・排気筒と排水口から空と海に出た放射能は、大地と海に蓄積されていくのではないで
しょうか?
・わたしたちが食べるものが、放射能に汚染されていた場合、内部被ばくする可能性
があるのではないでしょうか?風評被害の恐れはありませんか?
・子供たちが小児白血病と小児がんになる可能性について。
・わたしたちは、消費者として、原子力発電による 原子力発電による電力でなく、自然
エネルギーによる電力を求めています。
以上
by Emi Nakamura