2009年 12月 08日
“ 聖地を写す ”鈴木理策・藤代冥砂・石川直樹
トークイベントに行ってきました。
三重県が制作した熊野古道伊勢路の文化的景観を表現する冊子「 天海人 」で競作
した鈴木理策(りさく)さん・藤代冥砂(めいさ)さん・石川直樹さんの3人に、
“ 聖地を写す ”をテーマに作品をスライドショーを交えながら語ってもらうとい
うもの。写真好きな人なら、この当代きっての人気カメラマンが一堂に会している
イベントにきっと驚かれることでしょう。
響和堂を設立してから、伊勢との繋がりがどんどん広がり深まり、神宮を描く日本
画家の鳥居礼先生、三重県出身のアーティストである25絃箏・中井智弥、和太鼓・
壱太郎、ピアニスト・中村天平とも縁ができて、更にはShikinamiも伊勢のご縁。
なんでこんなに伊勢の道に通じていくの?と不思議に思うほどの昨今の私に、
このイベントの三重県のフィクサーと懇意にしている友人からお誘いがありました。
聞くと、このメンツ!それはもうワクワクです。
鈴木理策さんとは2年前に、東京都写真美術館での展覧会と中上紀さんとの座談会
に参加してお話ししたことがありました。
恵比寿ガーデンプレイスに行った時に、偶然、熊野をテーマにしたその作品展の
ポスターを見かけ、丁度熊野に旅したばかりだった私はこれは絶対見逃せない!
と出掛けていったのです。
白い空間の白い写真展「 熊野、雪、桜 」…私は一体どこにいるのだろう?と思う
くらい、この世界に酔いしれ、そして南方熊楠によく似た顔立ちの鈴木理策さん
(和歌山県新宮市出身)にとても興味を持ちました。
木村伊兵衛賞・東川賞・写真協会賞など数々の受賞歴があり、現在、東京藝術大学
の准教授、46歳。その理策さんと念願の再会です。
藤代冥砂さんのことを初めて知ったのは、テレビ番組「 情熱大陸 」でした。
「 女を撮らせたら宇宙一 」と言われ、女優やアイドルなどが、こぞって彼に撮影
してもらいたがる超売れっ子カメラマン、42歳。エロくて可愛くて自然で、誰も
みたことがない被写体女性の表情を引き出すのに天才的なセンスがある彼が、旭山
動物園や、日本各地の聖地を撮っていて、さらに小説家でもあると聞いて、これ
また興味津々。
そして石川直樹さん、32歳。北極から南極を人力踏破、七大陸最高峰登頂を達成。
移動・旅をテーマにした写真で数々の賞を受賞しているだけでなく、開高健ノンフィ
クション賞の著書も持つ写真家です。
この3人のトークイベント、面白くないわけがありません。
期待通り、三人三様の魅力が実にわかりやすく伝わる楽しいイベントでした。
終了後、打ち上げに参加させていただくことになり、しかもこの三人と同じテーブル
に座らせていただき、たくさんお話しできてもう楽しくて楽しくて…。
本当に、素敵なの!
話のふり方、展開のさせ方、受け答えが実に面白く、さすが素晴らしい作品を次々と
世に送り出している3人だけあります。話の内容は内緒ですが…。(笑)

イイキモチで酔っぱらって、みんなでパチリ。(前列中央の赤いBAGの方が、鈴木
理策さん、左が藤代冥砂さん、右が石川直樹さん。)
理策さんに「 私、一度、2年前に恵比寿での写真展でお会いしたことがあるのです
けど… 」と言うと「 憶えてますよ。あなたが熊野で撮った写真、見せてくれた
でしょう?あんな写真、みたことないもの。」って。
そう、あの時、那智の大瀧で撮れた森の精霊の写真を、理策さんに見せていたの
でした。オーブ写真なんて珍しくもないのですが、それでも木霊(こだま)の写真
が撮れるのは、屋久島や熊野、八丈島など大きな森のあるところでないとみられ
ないようです。
熊野・伊勢のご縁は、いにしえのご縁か。
たくさんのアーティストと繋がり、その光の道は宇宙の根源、生命の核へと続いて
いるのです。
by Emi Nakamura