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響和堂Blog 『 湧玉 wakutama 』

福島の友

福島には高校時代(山口県立岩国高等学校)の同級生Kクンが住んでいる。
1学年11組まであって同じクラスになったことは無かったし、そう目立つ存在
でもなかったが、顔はなんとなく覚えていた。
縁あって山口から福島に住むことになり、数年前に出張で東京にやって来た時
に、同じ東京にいる同級生と集まって飲んだ。
卒業して15年ぶりくらいの再会だったろうか。
ある男子は“あんなに可愛かったのに…”すっかりオッサンになっていたり、
頭頂部や腹部の諸事情でずいぶん違って見えるものだが(ひとのことは言えませ
んが)、ニューヨークやホノルルのフルマラソンにも参加したりして身体を鍛え
ているKクンは、やや肥満気味だった高校時代と比べて格段にかっこよくなって
いて、びっくりしたものだ。
その時に、「僕、修学旅行の時に新幹線の中でエミちゃんと一緒に写真撮って
もらってね、今もまだ持ってるんだ。」と言ってその写真を見せてくれた。
当時からませていて同年代の男子に全く興味が無かった私は、写真を撮ったこと
も忘れていたのだが、確かにそこには17歳の私がいた。

それから何度か、上京の折にはみんなで集まって飲んだくれる、愉快な友である。
響和堂の第1回プロデュース公演の時にも福島から駆けつけてくれた。
十代、同じ場所で同じ時を過ごした仲間というのは、今でも無条件で信頼できて
しまう。私の右腕、浩子ちゃんも然り。

さて、東日本大震災。
内陸部の福島市に住んでいる彼は、自宅の損傷もほとんどなく「日頃使っている
安いマグカップやグラスは割れなかったのに、たまにしか使わないバカラとか
ヘレンドとか、高級品は全部割れた。」と笑って話してくれてホッとした。
そして、この連休中は故郷の山口に帰ってリフレッシュしてくるという。
移動の途中、東京にも寄るというので「うちにゴハン食べにおいでよ!」と声を
掛け、久しぶりに会うことになった。

「ホントに行っていいの?」とKクン。
「なんで?」と私。
「いや、今は福島から来たっていうだけで差別されたりするでしょー。放射能を
 運んで来る、って。」
「何言ってんの。全然オッケーだよ。」

( … 続く … )

仲村 映美
by kyowado | 2011-04-30 15:15 | あれこれ…想う